168D 普通|城崎温泉 キハ47 2連 大師山俯瞰

山陰本線

 

2026/1/31 168D 普通|城崎温泉 キハ47 2連
GFX100II  GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR + GF1.4X TC WR


 2026年の初詣は古都奈良の春日大社であった。道路に出てくれば憎き障害物の鹿も境内にいる限りは神の御使いたる神鹿である。まさか餌を強請りに来た鹿に手を上げるわけにも行かず、彼らに追われて人気のない外れの方まで逃げていくと、そこには「志賀直哉旧居」と書かれた道標が立っていた。

 志賀直哉ねぇ・・・。歴史の授業は世界史を選択した上に戦前日本の文学作品への興味も薄い自分は志賀直哉と言われても学校の授業以上の事は知らないのだが、ネットで調べてみると『城の崎にて』という文字通り城崎温泉が舞台の自伝小説が代表作らしい。線路際を歩いていた主人公が山手線に轢かれて物語の幕が上がるという鉄道マニアには身につまされるような話だそうだが、それで読みたくなるかと言えばノーサンキュー。志賀直哉の事は頭から追い出し、忌々しい鹿にリベンジマッチを挑むべく社殿の方へと足を向けた。



 それから数週間後の1月末の土曜日、自分はなんの因果か志賀直哉ゆかりの城崎温泉でロープウェーにゆられていた。最強寒波再来という気象庁の御神託につられてフラフラ山陰へ出てきたはいいものの、日本海の塩水をたっぷり含んだベチャベチャの新雪はスノーシューをもってしてもあまりに手強かった。無念ながら数年来の課題としている俯瞰へのアタックは諦め、機械の力で山頂まで登れる城崎は大師山の俯瞰へ転進してきたのだ。

 このロープウェーは途中駅がある珍しい構造で、その名もずばり温泉寺駅。かつては麓の温泉に入湯する前に参拝するのが習わしだったという古刹を通り過ぎれば、あっという間に標高200m超の山頂駅へ到着する。



 この日は時折吹雪くものの曇り基調で視界は概ね良好。山上からも眼下に広がる城崎の温泉街がよく見えた。これなら一発合格間違いなし。パパっと撮ってパパっと下山しよう・・・観光地故に駐車料金も割高なのでそういう絵を描いていたのだが、ここからケチが付き始めた。本命だった最初のキハは、大雪によるダイヤ乱れのせいか数日前からローカル運用入りしていた観光列車”うみやまむすび”がまさかの登板でボツ。次のキハは通過時だけ吹雪いて姿が見えず、続く”はまかぜ”でようやく初の白星をあげた。

 次のローカルは11時半頃。某アニメのライブへ参戦のため明日までに自走で関東入りするという負債を負っているため、そろそろタラコのキハを撮って下山したいところだ。テツの神よご照覧あれとばかりにロープウェーで上がってきた観光客のカメラマン役を務めて徳を積んでいると、外界で鳴る踏切の音が風に乗って聞こえてきた。露出ヨシ、ピントよし、視界ヨシ。定刻から遅れること数分、宿の間を縫うようにして白銀の温泉街へ静かに滑り込んできたヨンナナをここぞという場所で切り取った。V!