モハ1形 彫刻の森ストレート

箱根登山鉄道


2017/12/17 モハ1形104 普通|強羅
EOS-1DX EF500mm F4L IS USM

 まだ暦上は11月だが列島を寒波が襲い、各所から積雪の報が聞こえてくる。
どちらかといえば温暖な地方に住んでいるため雪と聞けば心踊るものだが、撮影の足が公共交通機関しか無かった頃は雪は地獄だった。寒い、濡れる、転んだら全身雪まみれ!

 そんなありがた迷惑な雪も、いざ降ってしまえば腹をくくって付き合うしか無い。これは、そんな思い出の1枚だ。
 この日は引退迫るLSEを秦野の富士山バックで極めようとサンライズで未明の小田原に乗り込んだのだが、富士山の積雪は甘いわ山頂に雲が掛かるわで勝負にならなかった。昼間はどこで何をしていたのか今となっては不明だが、午後になり曇ってきた頃に箱根登山鉄道へ転戦した。狙いはもちろん古豪のモハ1形だ。
 色彩に乏しい冬場故に面パンアングルしかなかろうと地図で目をつけていた彫刻の森駅手前のストレートを訪れる。観光地の至近ではあるのだが、寒風吹きすさぶ曇り空と彫刻の森美術館の裏という立地のためか幸いにも観光客は少ない。いそいそと学生時代からの相棒であるGitzoにゴーヨンを据え付ける。このゴーヨンこそ、LSEを富士山バックで極めるために数週間前に購入した新兵器だった。LSEは不発だったがここで真価を発揮してもらおうではないか。
 当時はまだモハ1形の編成が複数在籍していたため、最初の編成にシャッターを切ってからも残留を決め込んだ。だが気がつけば空はいつになくおどろおどろしい黒雲に覆われ、ポツポツと地面には白い花が咲き始めてしまった。

そう、雪だ。

哀れ新兵器のゴーヨンは二度目の実戦投入にして早くも吹きさらしの洗礼を受けることになってしまったのである。


 内心気が気ではなかったが、もうそろそろモハ1形が登ってくるはず。ここで撤収する訳にはいかない。

時刻通りにやってきたモハ1形を、AIサーボAFを回しながら連写する。

薄暗い日没間近という時間帯に加えて前照灯が直撃する構図、そして小雪が舞うという悪条件。だがカメラはピントを外すことなく被写体を追尾し続けていた。

 戦果を確認した後、すぐに彫刻の森駅まで逃げ帰ったのは言うまでもない。