1レ 普通|家山 南海21001F 梅バックS字

大井川鐵道

 

2024/2/12 1レ 普通|家山 南海21001F
EOS-1DX3 EF400mm F2.8L IS USM+EXTENDER EF1.4×III

 本稿をしたためているちょうど今頃、季節は二十四節気でいうところの雨水を迎える。読みは勿論”あまみず”ではなく”うすい”で、「空から降るものが雪から雨に変わって、雪が溶け始めるころ」を意味するらしい。しかし今冬は上空の寒気に気合が足らないのか、雪が雨に変わるどころかまず雪がさっぱり降っていない。それどころか気象庁の御宣託によればこの後は暖かな日が続くとかナントカで冬が終わりそうな気配である。色味はネェ、雪もネェ、気温もそんなに低くはネェ...では風景撮りも長玉での面撃ちも出来ずに商売上がったり。吉幾三で無くとも逃げ出したくなるところだが、”晴れるところに休み無し”が鉄の世界だ。折しも友人らとの約束もあり、やはり三連休はハンドルを握って新東名を東進することになった。

 行き先は相も変わらず大井川。日中はSLには目もくれず本数の少ない電車を貪るように撮り、夜は鍋をつつきながら酩酊する事を繰り返していると早くも連休最終日となってしまった。さあ、今日はどこで撮り始めようか。朝一の2レはまだ撮るには時期が早すぎるが、次の家山便は撮影地が限られる。一同で頭を捻ったものの、結局はいつもと代わり映えしない答えしか出なかった。
 このアングルは逆光になるが、咲き誇る梅と思しき花をバックにS字カーブを面撃ちすれば障害物を隠して2連のローカルがピタリと収まる。この三連休のツアーで一度訪れている場所だが、ヨンニッパではどうもアングルが甘く構図を纏めきれなかった。もっと長玉で撮れば、林立する架線柱をカットして画面一杯の梅を背景にカーブを切り取れるはず。果たせるかな、ヨンニッパにテレコンを入れれば構図内に人工物は皆無(いや、おかしいのは分かってるけど)。これだ!
 定時、主電動機の音を響かせながらオリエンタルグリーンの湘南顔がファインダーに飛び込んできた。逆光に浮かび上がった梅に映える二丁パンタを見ながらシャッターを切る。V!