2329M 普通|新宮 105系SW009編成 浦神漁港

紀勢本線

 

2020/2/2 2329M 普通|新宮 105系SW009編成
EOS-1DX EF24-105mm F4L IS II USM

 本州最南端の串本駅を新宮方へ出発した列車は、市街地を抜け名勝橋杭岩を過ぎたあたりから海を真横に見て紀伊半島を北上する。紀伊姫、古座と荒々しい太平洋のすぐ近くを走った鉄路は紀伊田原で山手に入るが、暫くすると再び海辺へと戻ってくる。紀伊半島のメインルート国道42号と絡み合うように山を下りきるとそこは漁業の町、浦神の集落だ。
 太平洋と直に繋がっている古座の辺りとは違って、ここは浦神湾と呼ばれる細長い入江の奥に港が置かれている。今でこそ波の静かな湾内での真珠養殖が主力だというが、かつては熊野灘の好漁場に面した立地を生かしたカツオ漁が盛んだったそうだ。確かに国道から眺めてみると、湾に沿って港湾施設がどこまでも細長く広がり往時の隆盛を想像させられる。しかし衰えたりと言えども、岸壁には今でも多数の漁船が舫われているではないか。数少ない平地を人と道路と電車が空間を奪い合う紀南らしい絵が撮れるはず...そう考えて浦神湾で足を止めた。

 この頃はまだ紀南のローカルには105系が投入されており、この週末の目当ては紀南代走のSW009編成。所定は新造された105系SF編成だが、運用数と編成数がカツカツなので検査入場があると103系改造の105系が登板するのだ。この編成は前日から追いかけているので運用はバッチリ、加えて天気も上々。単線だから被りは無いし後は国道の車だけだが、交通量の多い道だけにこればかりは運任せだ。
 定時、紀伊浦神駅を105系が出発した。国道42号は海沿いに曲がりくねっているので、勢いワインディングを走るのが遅い車を先頭に車列が連なることになる。ノロノロと走る車に速くいけ、速くいけと念じているとようやく列が途切れた。対向車線からやってくる車もなし。これはイケる!しかし築堤の上に青いパンダ顔が見えてレリーズを握る手に力が入った瞬間、突然アングル内ギリギリに漁業従事者2Bが車で現れたではないか。なにぃと思う暇もなく、列車は切り位置を通過。もちろんシャッターを切るには切ったが、画面右端には和やかにご歓談する両雄が...。もう少し後で来るか、見切れないようにちょっとだけ奥に車を止めてくれたらまだ絵になったのになぁ。まあ目立たないからいいか!