2021/6/19 11レ 普通|千頭 近鉄Y3
EOS-1DX EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
俗世の些事に囚われることなく暦は粛々と進み、ついに梅雨の季節6月がやって来た。梅雨というとどうしても頭上を雨雲に抑えられた暗黒世界のイメージが付きまとうが、雫を纏うしっとりとした緑は美しいし、季節の彩りと言えば紫陽花があって意外と楽しめるものだ。「暑い、湿度が高い、夏休みで無駄に人が多い」の三重苦がつきまとう真夏のババ曇りの方がよっぽど末法の世に近いのではないだろうか。
とは言え、曇りや雨だと出撃意欲はどうしても鈍ってしまう。写欲を掻き立てる豪雨ならまだしも、小雨だと機材も体も濡れるのが億劫だ。しかし曇りならそれはそれで写真を撮っても単なる曇りカットでしかない。勢い季節モノということで紫陽花に頼ることになる。実は個人的にはあまり紫陽花は好きではないのだが(特に赤色!)、6月の写真を見返すとそれでも紫陽花を写し込んだ写真が随分と多い。
そういう事情もあって、大井川本線がまだ千頭まで通じていた頃の6月は雨と紫陽花の強化月間だった。3年前のこの日は朝一番に崎平の紫陽花を抑えてから雨カットを極め、午後から田野口へやって来た。まずは定番構図でズームカーを撮った後は紫陽花の廻りをしばらくウロウロ。あまりこれといったアングルは思いつかなかったが、どうせ次のローカルは近鉄だ。遊んじゃえ!自分好みの青い紫陽花の中に埋もれるように三脚を立て、花ピンで構図を整えた。
びっくりするほど時間にルーズな大井川だが、この日は定刻どおりに列車がやって来た。雨雲が濃くなったのか定常光がカットされた中で輝く前照灯が思いの外カッコいい。予想以上の手応えを感じながら、Yの顔をカメラ任せの高速連写で切り取った。
あれから僅か3年だが、大井川鐵道の状況は大きく変わってしまった。なんとか第一橋梁には列車が通うようになったが、笹間渡から先は未だに復旧の目処も立っていない。現状を維持するだけでも精一杯なのだとは思うし、なるべく低コストで話題を作るために列車種別を増やすなどテコ入れを図るのはわかる。しかし、1シーズンも経たないうちにダイヤ改正をされるようじゃ腰を落ち着けて撮るのは難しい。もう少しどうにかならないものか、と思ってしまう。