2022/9/10 10M 特急いなほ10号 E653系6連
GFX50S GF45-100mmF4 R LM OIS WR
ここ数年というもの、台風や発達した前線による大雨の影響で鉄路が寸断されることが日本の夏の風物詩となっている。国土強靱化基本計画が聞いて呆れるが、JR貨物が輪軸組立作業にかかる検査で行っていた不正が発覚したことにより全国的に貨物列車がウヤになるという更に呆れるニュースが飛び込んできた。物流に支障をきたす事態を惹起した責任がJR貨物にあるのは言うまではないが、日本社会のあちこちで次々とこのような不正の存在が明るみに出ている事を考えるともはや単なる一企業の怠慢という段階ではないのだろう。果たしてこの国は大丈夫なのかつくづく心配になってしまう。
とはいえ貨物はウヤでも線路が健在なら旅客列車は走る。2年前の秋も災害の影響で日本海縦貫線貨物は運休していたが、羽越本線には列車が通っていた。貨物抜きとなるとテツ的にはあまり面白みはないが、東日本特有の広大な田んぼが黄金色に染まる中を駆け抜ける”いなほ”という字面だけで写欲をそそられる。そう思うと居ても立ってもいられず天気予報が晴れマークをつけた週末に北陸道を北上した。
午前中は目当ての田んぼがイマイチだったのでロケハンでお茶を濁し、夕方になって行きつけのストレートへやって来た。いつもは貨物メインで構図を組むためスカってしまうが、今日は気兼ねすることなく三脚を据えることが出来る。雲が少々分厚いので縦アンにして、抜けるような青空とたわわに実る稲穂を大きく取り込んだ。乾いた風に吹かれて待つこと30分、軽快なジョイント音を響かせてE653系がオンステージ。ローアン故にヤンキー並の便所座りをしたせいで少し足が辛いが、ミホジャを参考に定めた切位置ピッタリに中判デジのシャッターを落とした。稲穂×”いなほ”、令和4年の秋が極まった瞬間である。