3096レ EF510-508 がんばろう能登HM

北陸本線

 

2024/12/14 3096レ EF510-508 がんばろう能登HM
EOS-1DX3 EF200mm F2L IS USM + EXTENDER EF1.4×III

 気だるさの残る土曜日の早朝、雨粒が車のルーフを叩く音で目が覚めた。夜中から降り続いた雨はどうやらまだ止んでいないらしい。GPVによれば次第に雨脚は弱まるはずだが、高価な機材を背負って雨の中を進むのは正直ぞっとしない。とりあえず雨音は聞かなかったことにしてもう一度寝袋に潜り込む。
 再び目覚めて空模様を伺うと、すっかり小雨になっていた。ネットを見る限り遅延の情報もないようだ。じゃあ行くか!レインコートを手早く羽織り、一躍雨の中へ躍り出た。

 11月末あたりから、富山機関区のEF510に能登半島地震支援のHM及びステッカーが装着されはじめた。現時点でHMは3種類あるようだが、白眉は「がんばろう能登」の文字を北陸風の意匠にあしらった物が装着されている508号機だ。例によって他は落書きの様なデザインだが、この北陸風のカンは非常に写欲をそそる。かつてのブルトレ牽引機にブルトレ風のカンを充てがうのもニクい演出だ。3096レで吹田を目指す同機を迎え撃つのが今日のミッションである。

 雨のなか辿り着いた撮影地は実に十年ぶりだったが、周囲の光景は記憶に残るあの頃のまま。すっかり変わってしまったのは被写体の方だ。ブルトレ風のカンを掲げる貨物列車を必死になって撮るというのも少し情けない話だが、EF81も24系も亡き今、これが謂わば尾頭付き。故にアングル作りの手は抜かずにミホジャを見ながら三歩進んで二歩下がる。ベスポジは歩いてこない。だから歩いて行くのである。
 十年前の写真を見るたびに古傷が痛むかのごとく気になっていた架線柱とパンタの処理を仕上げた頃には、本番の時刻になっていた。シャッター速度OK、絞りOK、ピントOK...OK、EOS!
 すっかり某アキオの気分になったところで、HMを凛々しく掲げたEF510がトンネルから飛び出してきた。HMに描かれた七尾湾にそびえ立つボラ待ちやぐらがファインダーに鮮明な像を結んだ瞬間、一気にシャッターボタンを押下する。V!