1011M 特急はるか11号 281系HA631編成+HA604編成 鶴ヶ丘面縦

阪和線

 

2025/1/26 1011M 特急はるか11号 281系HA631編成+HA604編成
EOS-1DX3 EF500mm F4L IS USM


 ちょうどコロナが始まる少し前だったか。当時はインバウンド需要全盛で関空がイケイケだったというのもあってか、”おもてなし”の一環で特急はるか全車両にハローキティのラッピングが施された。

 それが並のラッピングならまだよかったのだが、集合体恐怖症の人間にトラウマを植え付けるかの如き有機的な図柄はお世辞にも褒められたものではなかった。はるか完全9連化のために増備された271系に至っては、登場早々その身に悍ましいハローキティラッピングを纏う”悪魔の列車”と化す始末。

 271系の営業開始により沿線にさらなる恐怖が振りまかれようとしていた頃、ちょうど世界を襲ったのが新型コロナウイルスであった。当然空港アクセス需要など消し飛んでしまい、増結用である271系こと”悪魔の列車”は蟄居の身となったのであった...。


 あれから5年。アフターコロナの掛け声とともに遅まきながらはるかが完全9連化され、"呪の列車"は封印を解かれてしまった。

 しかし捨てる神あれば拾う神あり。271系は未だ呪われた身であるが、本家本元281系に悪魔のラッピングを解除された編成が現れたのだ。イエス・キリストを荒野で誘惑した悪魔とて40日間チャレンジして諦めたというのに、5~6年も粘るとは随分しつこい悪魔のラッピングだが消えてしまえばこっちのもの。折しも2025年、特急はるかが関空ともども30周年を迎えることを記念したラッピングが別口で施されている。これは撮りたい!運用と天気がシンクロした日曜日にゴーヨンを担いで鶴ヶ丘のエキセンへと向かった。


 現着直後は怪しかった天気も、次第に予報通り澄み渡っていく。前日から気温が低かったこともあって、陽炎もなくファインダー内はクリヤー。たかがはるか如きを撮るために運用を追いかけて...というのは癪な話だが、ラッピングを剥がされたのはまだ基本編成・増結編成それぞれ1本ずつ。運用と組成を確認したうえで無いと残念ながら撮れないのである。それだけにセッティングにも気合が入り、いつもは本命のくろしおをピン電にして準備完了。いつでも来い白はるか!

 定時、緩く左右にうねる高架の向こうに前照灯の明かりが灯る。所定なら青白9連のはずだが、これまでにはるかの運用を気にして撮ったことなどあるはずもない。運用表を読み違えて、あるいは組成が変更されて”悪魔の列車”がやってくることもあり得るだろう。さて、気になる答えは...!?


 鮮やかなストラトブルーの3本線を額に染め抜いて、シャイニングホワイトのボディがファインダーの中を駆け抜けていく。KIX開港、そして特急はるかの登場から30年。時を同じくして落成した同期生として、ささやかなエールを送りながら念願の白はるかにシャッターを切った。