2022/4/10 102レ ELかわね路2号 E10 1 さくらHM
EOS-1DX3 EF200mm F2L IS USM + EXTENDER EF1.4×III
ついに開幕を迎えた大阪万博2025。下馬評は様々だったが、2005年の愛・地球博から20年ぶりに日本国内で開催される万博(登録博覧会)ということで順当に盛り上がっているようで何よりだ。
その万博会場に数多あるパビリオンの中でも異色を放つのがイタリア館。愛知万博の時も古代ギリシャ時代に作られたブロンズ像を本土から搬入して度肝を抜いたが、今回はなんとかの有名な”ファルネーゼのアトラス”を展示するのだという。この本物を展示することへの飽くなき情熱について、イタリア館の代表は「日本やアジアの方にレプリカではない実物を見てほしい」とコメントしたそうだ。本物だけが持つ力やオーラを理解しているからこそ、貴重な美術品であっても本物を持ち込むことに拘るのだろう。
ところで、本物を使ってレプリカを作ることに汲々としている鉄道事業者が日本国内にある。どことは言わないが、静岡にある某OE川鐵道だ。自社で保有する旧客の尽くをトーマス色で塗りつぶし、正調ヘッドマークがあるにも関わらず機関車にヘンテコな”さくら風”HMを掲出するなどその数々の悪行には目を見張るものがある。
まあ裏を返せば、トーマスの世界を現出させたいという熱意の現れとも言えよう。だったら客車にも顔をつけてアニーとクララベルに近づければいいものを、どうもそこに手をいれる気は毛頭ないらしい。その結果出来上がったのが、ただ色が黄土色なだけの今の旧客。旧客としては紛い物、トーマス世界の客車としてもレプリカ以下の中途半端な存在である。機関車に人格を認めても客車には認めないというスタンスなのか、技術的あるいは法令的な問題なのか知らないが、イタリア人の爪の垢でも煎じて飲ませたいところだ。
大井川の客レを撮る時は、その哀れなトーマス客車をどうやって隠すのかが肝心。トンネル飛び出しかアウトカーブからの面縦か...。桜シーズンは機関車に”さくらHM”が掲出されるが、掲出期間も後半になると景色に鮮やかな新緑が目立ち始める。これを活かさない手はないと3年前はアウトカーブに陣取った。
ELかわね路号の先頭に立つE10 1は車体の塗装が草臥れて所々に錆が浮いてしまっているが、そこには同機が長年積み上げてきた歴史を感じさせる重厚さがある。ソドー島の二次創作としてこの世に生を受けた大井川トーマスには無い、本物の鉄道の重みがそこにはある。そんなリアルを噛みしめて、鐵の車体に咲いた鮮やかな桜がキリリと像を結ぶ瞬間を高速連写で切り取った。
さて、贋作家大井川鐵道の最新作は先日御披露目された国鉄色モドキのE34。その是非についてはここでは言うまい。だが、本物を本物として使うのではなく客寄せパンダのレプリカにしないとお金にならないというのは至極残念なことだ。まあ思いの外カッコよくはあったので、トーマス客車よりはマシだろうか...。とりあえずは早急な14系の戦力化を望む次第である。