2017/7/14 135列車 特急はこね35号 7000形LSE
EOS-1DX EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
2025年夏、関西が暑い。毎日毎日太陽が昇れば気温はすぐに35度。梅雨が明けて湿度が低いからまだいいものの、京都の方から陰湿な空気が流れ出てきた日などここはガダルカナルかインパールかと思ってしまう程の高温多湿である。一説によれば日本の夏はもはや温帯ではなく熱帯の気候だというから、あながち気の所為とは言えないのが恐ろしいところだ。
そんな令和の酷暑を吹き飛ばすほどアツいのが関西私鉄各社に登場した復刻塗装車である。南海、京阪、阪神・・・懐かしい塗装の車両たちが大阪を出発し各地へ散っていく姿を日常的に目にするとは、感涙モノという他ない。
しかし、カレンダーを少し巻き戻した2010年代後半。あの頃は関東がアツかった。風光明媚な湘南を走る185系は全車ストライプ化され、小田急の花形LSEもオレンジバーミリオン&銀色窓枠率100%達成によりハズレ無しという曇りなき姿を平成の世に伝えていた。既にブルトレはなかれども、これらの役者のおかげで関東のコンテンツパワーは今なお現役!その姿を収めるべく、幾度となくカメラを片手に箱根の関を越えたのだった。
8年前は海の日の三連休に有休を1日くっつけて四連休化。手元の記録によると、金曜日にサンライズで上京して平日の強みを活かし湘南ライナーを撮っていたようだ。昼ごろまで小田急の複々線区間を堪能し、午後からは満を持して愛甲石田のカックンへと繰り出した。
ここは歌川と県道を高架で跨いだ線路が降りてくるところで、緩くカーブした線路を望遠で圧縮すれば編成の中ほどで列車は弧を描く。風光明媚な秦野以西や迫力満点の複々線区間と比べるとやや影は薄いが、ロマンスカー伝統の連接車体を編成撮りで捉えるには好適なはずだ。雲一つない空に胸を躍らせながら、今遠征のメインディッシュの地にゲバを据えた。
ピン電の通勤型でケツの位置を確認しつつ、LSEの前よりにあるパンタを切らないように天地を整える。私鉄の前パン構図はいつも緊張するが、こちらも電車大学電車学部を卒業したという意地がある。顔横の障害物がやや目障りだが、上下パツパツになるまで先頭車を引き付ければカクンと折れた編成の最後尾がピタリと収まるはずだ。さあ来いLSE!
定時、タタン、タタン・・・と独特な連接台車のリズムを奏でながら伝統のオレンジバーミリオンが姿を見せた。展望席の窓ガラスの向こうで孫と談笑しながらスーパードライの缶を握り至福の時を過ごす祖父の姿には惑わされず、1DXは「はこね」の三文字を正確に追尾する。LSEの鼻先が最後の架線柱を通過した瞬間、シャッターをいっぱいまで押し込んだ。V!