2027/7/20 235D 普通|豊岡 KTR700形 みやづ号
GFX100II GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR
全国に数多あるご当地富士の一つ、丹後富士。その名に反して東西2つの峰を持つインチキじみた山容だが、登山界はどうも容姿端麗という評価を与えているようだ。周回コースが組めるとか山岳信仰がどうとか山をやる人には色々と興味深い場所のようだが、我々鉄道マニアにとっては由良川橋梁を俯瞰する足場として知られている。暑い海の日の三連休、撮影行の最終目的地としてかねてから訪れてみたかった丹後富士─正式には由良ヶ岳─の頂へとアタックを開始した。
今日の天気は晴朗ナレドモ雲多シ。上空では強い風が吹いているのか、NDCみたいにチンケな雲が高速進行しており雲行きはあまりよろしくない。天気予報は強気に晴れ時々曇りと宣っているが、”時々”とは被写体の通過時と相場が決まっている。あまり気乗りしないが、なにせ山頂への道に付けられた名前は「遊歩道」。登山道と名乗る程の道ではないなら曇ってもダメージは少ないさ、と嘯きながら歩みを進めていく。
山頂直下を除いてはその名に恥じない人道的な道を登り詰めると、パッと視界が開けた。山屋なら山頂の標識と記念撮影するとか三角点を探すとかするのだろうが、鉄道マニアたるものまずは三脚を立てねばならぬ。我々が山に登る理由は、ジョージ・マロリーの言葉を借りるなら「そこにデンシャがあるから(ただし走っているのは気動車)」であり、目的達成のためにはゲバを据えカメラをセットするまで気を抜くことは許されない。エヴェレストに初登頂したヒラリーとテンジンが如き荒い息でセッティングを終えようやく一息ついた頃、背後には雲の大群が迫っていたのであった・・・。
流石に万事休すかと思われたが、なんと雲は次々と橋梁直上をそれて海へと向かっていくではないか。当然マンダーラも回避である。もちろんこれは日頃の行いが良いからであるが、いま山頂に居るのは自分ひとりだけ。つまりこれは日々積み上げ続けた我が善行が効いているということだ。流石にこれにはディーゼルパワー全開だが、一方で構図の方はなかなか難しい。作例写真だと長閑な土地のように見えて、橋梁周辺は意外と目障りな建物が多い。広めの構図で誤魔化そうにも海の向こうにそびえ立つ舞鶴発電所が入ってしまうし、そもそも被写体が小さくなりすぎる。思案した挙げ句、夏らしい緑の田んぼを泣く泣くカットしてなるべく障害物を排除したアングルを練り上げた。
程よく日が傾き始めた16時前、かつてのキロ28を模したラッピングを纏う”みやづ号”が対岸の丹後神崎を出発する。プレジャーボートへのアピールのためか橋梁手前で減速して長声一発、這うような速度で長大な由良川橋梁へオンステージした。被写体が単コロ気動車では流石に豆粒気味だが、それでも顔横障害物は意外と目立つものである。ヘマをしないようにファインダーを注視してここぞという切り位置でシャッターオン!無事に登山の労力に見合うカットをゲットしたのであった。
