2323M 普通|新宮 105系SW004編成 紀伊浦神俯瞰

紀勢本線

 

2019/11/16 2323M 普通|新宮 105系SW004編成
GFX50S SMC PENTAX 6x7 55mm F4

 今年の夏は暑かった。ズルズルと残暑が続き10月半ばまでは半袖を着ていたが、一気に冷え込んだあとすっかり季節は冬になってしまった。
 そんなわけで体感上の季節は初冬といったところだが、夏と冬の間には秋が挟まるのが道理というものである。テツ的には11月は秋。列島を足早に駆け抜ける紅葉前線を追いかけて東奔西走する月だ。
 そんな週末の撮影行の最中、眠い目を擦りながら車中の寝袋から這い出てみると朝方の太陽の高度は意外なほど低くなっていることに気づく。大抵は紅葉のことで頭が一杯になっているのだが、こういうライティングの違いを上手く活かせば定点観測的写真にも季節感を出せるというものである。


 6年前の紅葉シーズンは高山本線北部にキハ85を追っていた。しかし台風による塩害が原因ともっぱら噂される色づきの悪さに嫌気が差し遠征1日目で紀勢本線への転戦を決意。翌日はイルカ顔が大阪方を向く付属編成重連のオーシャンアローを仕留めるべく、日の出とともに浦神の俯瞰へアタックした。立ち位置の岩の上で窮屈なモーニングと洒落込んでいると、のんびりと走ってきた105系が朝日に照らされてギラリと光る。日が少し高すぎるのかややパンチに欠けるが、これは極まるとVかもしれない・・・。そう思った瞬間に脳内でVカットは現像済み。あとは然るべき時期にカメラを据え付けてシャッターを押すだけである。


 あれから二週間、週末の紀南地方の予報は晴れマーク。暦も進んで少しは太陽高度も下がっていることだろうし、ここは一発強烈なギラリを頂戴したいところ。早朝ローカルを万全の体制で迎えるべく、今日も日の出とともに俯瞰へアタックを掛ける。ババ曇りな上に紅葉もイマイチだった高山本線は散々だったが、雲一つない青空を写したかのような穏やかな水面を掠めて緩やかなカーブを描く紀勢本線の線路を見ていると自然とテンションも上がるというものだ。紅葉なんぞクソ喰らえ、とお天道様の恵みに応えるべくデンシャパワー全開で三脚を広げた。
 定時、厳しい線形の鉄路をソロリソロリと走る105系がオンステージ。今日のこのスジには検査予備であるSW004編成が充当されているはずだ。ファインダー越しに目を凝らすと、103系改造車の特徴である片側4箇所に誂えた扉が微かに見える。編成が波打ち際のカーブに差し掛かったところで、特徴的なサイドビューが鋭い朝日に照らされてギラリと光った。


 これぞ狙い通りの満点回答!クモルクル、ユクハレル・・・とままならないテツの世界でも偶にはこういう美味しい展開があるからこそ、我々は馬車馬のように体に鞭打ち今日も線路際に立つのである。