南海21001F団臨 「臨時こうや」

大井川鐵道

 

2026/3/1 南海21001F団臨 「臨時こうや」
EOS-1DX3 EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM


 三寒四温とはよく言ったもので、しばらく暖かい日が続いたと思えばまた寒くなり、何日か経つとにわかに暖かくなる・・・。2月の半ばくらいからはそんな気候だが、二十四節気で言うところの立春は2月初旬であるのだからそれも当然。そもそも季節はすっかり春である。
 そんな折、南海21001Fの団臨にお誘いをいただいた。緑芽吹くにはまだ遠いが、大井川沿線に散見される河津桜は見頃を迎えていることだろう。オリエンタルグリーンに映えるパステルカラーという春らしい組み合わせに期待を膨らませ、深夜の東名阪道でアクセルを踏み込んだ。


 しかしズームカーが故障してから大井川鐵道へは久しく足を運んでいない。そこで団臨前日は復習がてらロケハンと洒落込んで沿線を流したのだが、春の訪れに高まりを感じていたのは何も我々テツだけではなかったようだ。恋の季節と言うにはあまりに無機質な発情期を迎えた杉どもが一斉に花粉を撒き散らし、空を仰げば月明かりでさえ花粉光環が見える始末。花粉でショボショボする目を凝らしてファインダーを覗き込んでも日中は晴れてるんだか曇ってるんだかよく分からない空模様で、思わず目をこすりながら車の中へと逃げ込んでしまった。本番の明日は今日よりも天気は下り坂というご宣託が出ており、撮れ高はあまり望めそうもない。大井川本線では夜行客レが運転されていたが、早々にビールを流し込んで不貞寝してしまった。
 ところが、翌朝起きてみると朝日が大井川の谷間を照らし出し、この季節にしては青く透き通った空が頭上を覆っているではないか。流石にこれにはデンシャパワー全開。鼻息荒く一発目の撮影地へと車を走らせた。


 河津桜ネタも仕込んであったが、最初に選んだのは煽りで顔だけを切り取るアングル。団臨ということで南海時代のオリジナル看板も掲出されるため、ベタではあるがやはり顔面アップで狙いたいところ。空バックとなるだけにまさかここで撮れるとは思っていなかったが、ファインダーを覗き込んでも空は高く透き通っている。こ、これは極まるかもしれん・・・!
 加速する鼓動に身を任せ、贅沢にも件の夜行客レをピン電にして構図をチェック。手足の隅々までエネルギー充填120%されたデンシャパワーのお陰で構図もピントも最初から100点満点。あとは本番でシャッターを落とすだけである。
 定時、ゆっくりとした足取りで丸ズームが檜舞台へオンステージ。フル点灯の標識灯がニクいご尊顔に掲げられたのは、当時物の臨時こうやの看板。こうなるとすっかり気分は高野線の山線である。激渋の古豪がファインダー内を駆け抜ける刹那、EOSのシャッターを一思いに押下する。極まった!