定宿にしているパーキングで目を覚ますと、外は一面の霧であった。すぐ近くの山でさえその頂は白いベールに隠されているが、それでも裾野の辺りは目が覚めるような若葉の緑に彩られているのがよく分かる。
一年で最も好きな新緑の季節を迎えた喜びを噛み締めながら車のアクセルを踏み込むと、果たせるかな、山の向こうには霧のないクリヤーな視界が開けていた。今日は概ね晴れ予報!Vの予感で朝からディーゼルパワー120%である。
DMH17並のエンジンで朝からヨタヨタと登攀した俯瞰をやっつけると、昼からは今日のメインディッシュ、スーパー三田浜に取り掛かる。何度か紹介しているので食傷気味の向きもおられるかもしれないが、本当に好きな撮影地なので御容赦いただきたい。
いつもの様に登り口へ車を走らせていると、途中の山道で1台の車とすれ違った。普段は人気のない場所なので珍しいなと思ったが、車から降りた人物がこちらに向かってくるあたりどうやら同業者らしい。怪しい人物と山中で顔を突き合わせるのは辛いものがあるので多少警戒しながら顔をあげてみたところ、帰ってきたのは聞き覚えのある声。何のことはない、現れたのは顔見知りのテツとよく名前をお見かけするバリ鉄2Bの御一行様であった。う~ん、世間は狭い(笑)。
一人で登ると長い道中も複数人ならあっという間だ。冬眠明けの熊も寄り付かないような話をしながら立ち位置へオンステージすると、今年も三田浜の谷は鮮やかな新緑に包まれていた。この時期にしてはヌケもよく、青く輝く海を背景に笑う山々が映える景色は値千金である。いそいそとゲバを据え付け、しばし思案。いつもは縦で行くのだが、そういえば新緑の縦構図は去年極めていた。ならばとカメラを横にしたまま左に振って小高いピークを入れてみると、築堤がピタリと対角線上に収まった。さあ、後はシャッターを切るだけである。
香住の駅をキハが出た辺りから会話も疎らになり、一同で築堤の上を注視する。ヌケはぴったり2両分。GFX100IIに買い替えて連写が効くようになったとは言え油断は禁物である。定時、いつもどおり袖から舞台へ静かに上がってきたキハをディーゼルパワー全開で切り取った。V!
ところが、帰宅して現像中に過去の写真を見返してみるとおどろ木ももの木さんしょの木。去年撮った三田浜の新緑カットはなんと横向き、それも全く同じ構図ではないか!あれぇ、おかしいなぁ。こうして極めたはずの新緑縦構図の写真は幻と消え、似たような写真が2枚手元に残されたのであった・・・。ということで、現像するのも面倒になったので、冒頭には去年の写真を掲載した次第である。
