最繁忙期のみに設定されるサンライズ出雲92号の運行時間は16時間を超え、始発の出雲市駅を出発するのはなんと14時過ぎ。いくら臨時列車とは言え、ブルトレ全盛期でもここまで始発が早い夜行列車は早々無かったであろう。
それはそうとして今年の春臨のプレスを見てふと思ったのだが、この列車、昔はここまで早い時間帯ではなかった記憶がある。手元の時刻表を繰ってみると、確かに10年ほど前は出雲市を15時半頃に出発していたようだ。ところが、面白いことに、列車密度が上がりスジを自由に引けなくなる岡山から先は今も当時も似通ったダイヤとなっている。つまり、始発が1時間半繰り上がった分は伯備線内のスジを寝かせて消化しているというわけだ。
さらにネットの海を深堀りしてみると、サンライズ出雲92号が現行のスジとなったのは2024年春臨から。それ以前でも撮れないことはなかろうが、伯備線内は流石に山影がキツいだろう。現行ダイヤであれば、「やくも」の作例と照らし合わせてみたところ日は当たるはず。にも関わらず381系のついでに撮られた臨時サンライズの写真を見た記憶はない。もしかして実は不可能なのか・・・?
しばらく首を傾げていたが、そう言えばちょうどこれくらいが381系「やくも」の最末期で、同年6月には新型の273系へとバトンタッチしていたのだった。つまり、伯備線がクライマックスを迎えた時期と臨時サンライズがまともに撮れるようになった時期がオーバラップしたのは僅か1シーズン、それも数日しかないサンライズ出雲92号設定日だけ。道理で381系フィーバー時代に写真を見なかったわけである。
ここまで謎が解けると、写真を撮りたくなるのがテツというもの。今なら381系用に開拓された数々のVアングルがよりどりみどりだが、答えは吟味するまでもない。数多の同業者がアタックした上石見俯瞰・・・田んぼに水が入るGWに狙うならここしかあるまい!
登り口だけは事前に聞いておいたので、後は地形図を見ながらアドリブで直登していく。GW前半にサンライズ91号の車窓から眺めた山に92号を撮りに登るというのは不思議な気分だ。GPVのご宣託によるとあまり天気はよろしく無いが、段々と高層雲が抜けてきて露出が上がってきたからには登らねばならぬ。急斜面での休憩を挟みながらお立ち台へ上がると、そこにはインターネットで幾度となく見た絶景が広がっていた。
幸いにも天気は晴れ基調。少々ヌケが悪いので、稜線はカットして中石見地区の田んぼをメインに構図を組む。GW最終日というシビアな日であるにも関わらず、落石検知の影響で伯備線のダイヤはメチャメチャだ。幸いにも臨時サンライズは30分弱の遅れで走行しているが、あまり遅延されると始発時刻繰り上げの意味がなくなってしまう。早く来い!
その思いが通じたのか、影がアングルを侵食する前にサンライズはやって来た。振り子を効かして爆走する「やくも」とは明らかに違うのんびりとしたジョイント音を奏でながら、大人気の臨時寝台特急が檜舞台にオンステージ。線路際のボックスから顔が抜けた瞬間、デンシャパワー全開でシャッターボタンを押下する。撮れないはずのアングルで撮る夜行列車、極まった!
